【2016年9月30日(金)|常陸多賀駅前商店街】
この秋は、KENPOKU ART 2016の会期中にカレーをつくることになった。こうしたアートプロジェクトについては、さまざまな議論がある。来場者数だけでアートプロジェクトの成否を評価できるのか、アートをとおした「地域活性」は可能か、地域に暮らす人びととアーティストたちとの関係性をどう理解するのか。突きつめていくと「アートとは何か」という問いも無視できなくなる。
なによりも印象的だったのは、日常的に商店街とともに暮らしている人びと、そしてスタッフとして芸術祭を支えている県北の人びと(もちろん「外」からスタッフとしてかかわる人もいる)が、とても活き活きしていたということだ。
もちろん、「芸術の秋」なので、遠くから県北まで足をはこぶ人も少なくないだろう。もし会期中の来場者数が大切なら、「外」からたくさんの人を呼ぶ必要もある。だが、アートプロジェクトは、来場者数や経済効果(どのくらい「お金が落ちたか」)だけでは理解しえないということも、ぼくたちは知っている。一つひとつのちいさなエピソードが、人びとの気持ちやまちの見え方を変容させる。その兆しのようなものに気づくことこそが、大切なのだ。
鍋をかき回しながら、そんなことを考えていた。すぐ傍らにある街路樹は力石さんの作品で彩られていて、カレーづくりが明るくなった。🍛
◉ビデオ|撮影・編集:Kana Ohashi (yutakana)