朝から暑い日になった。「コモード56商店街」の入口にクルマを停めて、詰め込んできた荷物をおろし、淡路島アートセンターの前まではこんだだけで、汗だくになった。このアートセンターの軒先を借りて、「関西ロード」の第1回目のカレーづくりがはじまった。
すすめかたは、いつもと同じだ。テーブルやコンロ、鍋を並べて、大まかにセッティングを済ませてから、買い出しに出かける。事前に、くにこさんからは、タマネギ10キロと鹿肉を準備してある…とのメールをもらっていたので、それを頭に入れながら、食材をえらんだ。タンドール壱号も持ってきたので、鶏肉も買った。途中で、イノシシ肉とスイカの「差し入れ」もあった。いつものように、ぼくたちのカレーづくりは、ゆるやかにすすむ。何かが起きたら、その都度考えればいいのだ。
淡路島アートセンターも、その隣にある233カフェも、とても素敵な場所だった。他にも、魅力的な店がいくつもあった。昔からの商店街が、いろいろな意味で変化しているのが感じられる。ここには、どうやらあたらしい風が吹きはじめているようだ。
いっぽう、(ぼくたちが朝から眺めていたかぎりでは)人通りはあまり多いとは言えないし、シャッターが閉まったままの店もたくさんある。歩いて数分のところには、お決まりの大型量販店もある。これまでに、似たような状況の商店街はいくつも見てきた。ひと筋の涼風を、まちの人びとはどのように感じているのだろうか。
カレーキャラバンの看板には「18:00ごろ完成」と書いておいたのだが、その時間になると、どこからともなく人が集まってきた。人影はまばらだったはずなのに、カレーを食べる時間になると、あたりが少し賑やかになったように思えた。
いろいろな種類の肉が、(鍋で)出会うカレー。そのカレーを食べながら、あたらしい出会いが生まれる。淡路島のタマネギの甘みがとけ込んだ「あわじミーツカレー」(命名:ゆっきー)ができあがった。そして、みんなで食べるカレーは、いつでも美味しい。(この日つかった食材のこともふくめ、カレーづくりの経過・概要は、カレーキャラバンのオフィシャルサイトに掲載される予定|http://curry-caravan.net/)
「コモード56商店街」の奥には、「7丁目商店街」さらに「8丁目商店街」が続いている。細長い、トンネルのようにも見える。夕方になると、涼しい風が通った。陸から海へと流れる風だ。ぼくたちがつくっていたカレーのにおいも、このトンネルを通って、遠くへ運ばれていたのかもしれない。
ぼくは、『ラージャのカレー』という絵本を思い出していた。あの物語の舞台は、南の島だった。カレーのにおいが島じゅうに漂い、みんな、カレーのことを思い浮かべながらがんばる。そして、カレーを食べると元気になるので、さらにがんばることができるという話だ。