クローブ犬は考える

The style is myself.

in KENPOKU 02: だいご Oh!しゃもカレー

2016年10月8日(土)|大子町文化福祉会館「まいん」

ふたたび、KENPOKU ART 2016へ。およそ2か月という会期中に6つの市町を巡るので、なかなか忙しい。これまでのペースをはるかに上回り、ほぼ毎週のように茨城に出かけることになる。その2回目は、奥久慈の大子町(だいごまち)へ。久慈川に沿うように、ゆるやかに蛇行しながら国道118号線を北上した。

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あいにくの空模様だったが、大子町文化福祉会館「まいん」の軒下を借りて、カレーをつくることになった。さっそく荷物を降ろして、いつものように場所を整える。もともと、「まいん」の軒下にはベンチがいくつか置かれていたので、ぼくたちがクルマに積んでいたテーブルやイスとともに、設えを考えた。

設営をしているうちに、(カレーづくりのことを聞いたという)子どもたちがやって来たので、さっそくタマネギを刻むのを手伝ってもらうことにした。いきなり路上でカレーをつくりはじめるのだから、やはり不思議な光景なのだろう。その後も、道ゆく人に声をかけられて、ことばを交わす。多くの人が入ったり出たりしながら、カレーづくりがすすんだ。
ふと、福島県の矢吹町でカレーをつくったときのことを思い出した。カレーキャラバンの活動をはじめて、ちょうど1年ほど経ったころ、矢吹のまちで、たくさんの人びとの手を借りてカレーをつくった。できあがったカレーをみんなで和気あいあいと食べて、みんな「完食」だった。紙ナプキンの「感謝状」ももらった。

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「だいご Oh!しゃもカレー」を配りはじめようとしていたときだった。いつの間にか人が集まりはじめ、ぼくは列の先頭に並んでいた女性と話をしながら準備をしていた。なぜこのような活動をするのか。なぜカレーをタダで配るのか。カレーを販売しないとしても、せめて募金箱くらい置いておけばいいのではないか。このような(お金が出ていくだけの)道楽を続けていて、家族は迷惑に感じていないのか。質問されているようでいて、じつは先輩に諭されているような、ちょっと叱られているような気分になっていた。

たびたび、ブログなどに(そして『つながるカレー』という本にも)書いているとおり、カレーキャラバンの活動には、理屈がある。というより、ひとつの態度表明なのだ。もちろん、質問があれば、きちんとした説明を試みることが大切だ。だがそのいっぽうで、ぼくたちは、理屈では説明できないことがらがたくさんあることも知っている。
 
カレーができた。矢吹町での体験を思い出したのは、「みんなでつくって、みんなで食べる」という、カレーキャラバンの「原点」ともいうべきものに触れたからだろう。大子町には、それを彷彿とさせる包容力があった。雨が上がった。ひと皿のカレーは、心を溶かす。最前列にいた女性も、美味しそうにカレーを食べていた。🍛
 
◉ビデオ|撮影・編集:Kana Ohashi (yutakana)