クローブ犬は考える

The style is myself.

Day 4: 仏生山カレー

4日目。朝から快晴。ものすごく暑い。9:30ごろに宿を出て、仏生山温泉に向かった。きょうは、設営の前に買い出しに行くことになり、紹介してもらった産直や地元のスーパーで、食材を手に入れた。

ひさしぶりにテントを張って、広くて快適な、一日かぎりの厨房ができた。(テントが茶色でよかった…と密かに思う。派手な色のテントだったら、この場所にはきっと不似合いだったはずだ。)

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とにかく暑くて、すぐに汗だくになった。真夏の田辺でカレーをつくったときのことを思い出す。しばらくして、少し日が傾くと暑さが弱まって、だいぶ作業がしやすくなった。テントの辺りでカレーの準備をしながら見ていると、じつに多くの人が、この場所を訪れていることがわかってきた。それも、いわゆる“ピークタイム”があるというよりは、絶え間なく人が行き来している感じだ。観光客もいるとは思うが、まちの人びとの生活リズムのなかに、この場所で過ごす時間が、すっかり組み込まれているように見える。そもそも「お風呂屋さん」は、社交のための場所だ。人びとが集い、語らう。

ここの温泉は、とても素敵な設えだ。(建築のことは専門ではないので)たんなる一人の「利用者」として語ることしかできないが、ここは、居心地がいい。絶妙な「距離感」がつくられているからだろう。たとえば温泉は、いくつかの湯どのが、中庭を囲むように配置されている。ベンチがいくつも置かれていて、誰かと話をすることができる。もちろん、空を眺めてもいい。人との距離は、遠すぎず、また近すぎることもない。自然に会話が生まれるような「親密さ」がある。大きなガラスと大きなテーブルも、実際に座ってみると、その気持ち良さを実感することができる。

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この大きなガラス窓の外にはテントがあって、汗だくになってカレーをつくっているぼくたちの姿が見えたはずだ。今回は、寸胴ふたつ分。たくさんカレーをつくることにした。夕方になって、スパイスのにおいが漂いはじめたので、「タンドール壱号」にも火を入れ、チキンを焼いた。18:00ごろ、淡路島からはこんだタマネギと、近所の産直で買った野菜がたっぷり入った「仏生山カレー」が完成した。たくさんの人が食べてくれた。 ゆっくりお湯に浸かったあとで、カレー。また汗をかいて、温泉へ。という無限の愉しみかたもあったにちがいない。(この日つかった食材のこともふくめ、カレーづくりの経過・ 概要は、カレーキャラバンのオフィシャルサイトに掲載される予定|http://curry-caravan.net/

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学生たちと出かける「キャンプ」や、カレーキャラバンの活動をとおして、いろいろなまちに出かけているが、いつでも思うのは、どのまちにも「居心地のいい場所(グッドプレイス)」があるということだ。居心地のいい場所には、人を惹きつける「何か」がある。

カレーキャラバンが、スパイスのにおいで人びとを誘うとするならば、この仏生山温泉は、(温泉はもちろんだが)灯りが魅力を放っているのではないかと思う。24時まで、柔らかい灯りが人びとを待っている。来れば、ついつい長居をしたくなる。一日の疲れを癒やしに、この灯りに吸い寄せられるように、人びとが集まってくる。

ふたたび荷物をクルマに積んで、きょうのカレーづくりは無事に終了。最後に、一日の汗とスパイスのにおいを流すことにした。ぬる湯に浸かりながら、空を眺めた。太陽を浴びてたくさん動いて、たくさん人に会う。そして語らう。それさえあれば、ぼくたちは元気に旅を続けることができる…。そう思った。