ちょっとお休み
2016年6月25日(土)
2016年6月25日(土)、ひさしぶりにキラキラ橘商店街を歩いた。そもそも、カレーキャラバンがはじまったのは、この界隈でおこなっていた「墨東大学」プロジェクトがあったからだ。
今年は、ぼくの事情で9月まで「お休み」ということになった。メンバーには申し訳ない気持ちでいっぱいだが、5年目に突入し、これまでに50回以上、まちかどでカレーをつくるという活動を続けてきたところで、ちょっとクールダウンするのも悪くないように感じている。そもそも、好きではじめて、ごく自然な流れで続けている活動なので、じぶんたちの状況をよく理解しながら、無理なくすすめたい。(それが、続けるコツだと思う。)
これまでの(ちょっと長すぎたかもしれない)「ファースト・シーズン」の締めくくりとして、ぼくたちの原点(スタート地点)に戻ってきたのだ。あの店であじフライを食べて、商店街をしみじみと歩き、キラキラ会館の前で“RADIO Curry Caravan”のプログラムを収録した。「セカンド・シーズン」は、9月の下旬から…。
◉2016年6月25日(土)収録:RADIO Curry Caravan
まだまだつながるカレー
早いもので、今年のはじめに50回目の旅を終えた。そして3月17日には、4周年のお祝いをした。最近は、ちょっとハイペース。『つながるカレー』(フィルムアート社, 2014)には、初回(東京都墨田区)から、20回目(東京都大田区)までの活動内容の記録を収録している。出かけることになったきっかけや経過、食材のことなどをふくめて紹介している。
そして、3月中旬からは『まだまだ つながるカレー』と題した冊子の編集をすすめてきた。このちいさな冊子には、21回目(東京都八王子市)から40回目(東京都東村山市)までの活動内容を収めた。「年度末」に向けてドタバタとしていたものの、先日、無事に納品されたので、4月以降のカレーキャラバンで、配布したいと考えている。
『まだまだ つながるカレー(協同調理を介した参加のデザインに関する研究)』(四六判・50頁)2016年3月17日発行(非売品)
加藤文俊・木村健世・木村亜維子
50回目に向けて
出かける前のノート
年末、メンバーで集まって「カレー納め」をした。あらためて数えてみたら、2015年は19回のキャラバンを実施していたことがわかった。ふだん「だいたい月に1回」などと言いながら、それどころではなかった。カレーのために、時間もエネルギーも投入しすぎだろう…などと話しながら食事を終えて(=某所でカレーを食べて)、3人で年賀状を書いた。お世話になったかたがた全員に年賀ハガキをお届けすることはできないが(なかには名前も住所も知らない人がたくさんいる)、ふり返りながら、これまでのカレーづくりの情景を思い出した。「本業」のことも、体力のこともあるので、今年はきちんとペースを意識しながらすすめたいと思う。
今年最初のカレーキャラバンは、ご縁があって(くわしくは後日書きます)、神戸の和田岬界隈(神戸市兵庫区)で実施することになった。いろいろな調整の結果、1月17日(日)という、神戸にとって、とても大切な日に出かけることになった。そして、偶然にもこの2016年の「カレー初め」は、記念すべき50回目のキャラバンとなる。
【2004年11月3日(水・祝)の葛飾柴又|柴又フィールドワーク】
ところで、いま「キャンプ」と呼んでいるフィールドワークの活動は、葛飾柴又(東京都)からはじまった*1。亀有信用金庫に勤める友人から声をかけてもらったのがきっかけで、2004年の秋に学生たちとともに、柴又の界隈を歩いた。葛飾柴又といえば、「寅さん」のまちとして知られている。そのときのフィールドワークを起点に、人と人とのつながりを辿りながら、まさに「寅さん」ふうに、全国のまちを巡るようになった。あれから十数年、昨年12月に訪れた喜多方(福島県)が、47都道府県のうちの27番目の逗留地になった。*2
【キャンプの足跡|2004年11月〜】
【カレーキャラバンの足跡|2012年3月〜(予定もふくむ)】
じつはカレーキャラバンも、人との出会いを辿って、ぼくたちの「ゆるさ」に身をまかせながら「寅さん」のように流れ続けて、まもなく5年目をむかえようというところだ。「寅さん」を演じていた渥美清さんは1996年の夏に他界しており、『男はつらいよ』シリーズは、第48話「寅次郎 紅の花」が最終話となった。
『男はつらいよ』が面白いのは、ストーリーはもちろんのこと、映画に当時のまちや風俗が記録されている点だ。たとえば20年前の建物、人びとの服装や髪型、道路を走るクルマや新幹線の車両など、懐かしさを感じるとともに、20年という時間の流れを実感するきっかけになる。1995年に公開された『男はつらいよ』第48話は、阪神淡路大震災の直前に、神戸から連絡があって以来、寅さんは音信不通という設定ではじまる。そして、映画には、20年前の津山(岡山県)、奄美大島(鹿児島県)、そして神戸(兵庫県)の風景が記録されている。
まさに1995年にロケがおこなわれているので、神戸のまちのようすは、ほぼ当時のものだという。山田洋次監督は、そのタイミングで神戸のまちで喜劇映画を撮影することにためらいがあったということだが、記事などを辿ると、「長田に寅さんを迎える会」のはたらきかけによって、ロケが実現したらしい。
いろいろな偶然とご縁をとおして、今年最初のカレーキャラバンは、1月17日に神戸で実施することになった。ぼくたちは、この20年間をかけて、神戸のまちがどのように変わってきたのか、その道のりを見てきたわけではない。もちろん、テレビで放映された、当時のようすは記憶に残っているが、これまでの20年間という歳月を飛び越えて出かけていくことになる。それは、緊張感をともなう。
「寅さん」に誘われた(いざなわれた)ような、そんな気分になって、神戸のまちかどで鍋を炊く。50回目の旅では、どのような出会いがあるのだろうか。ぼくたちは、何を感じるのだろうか。出かける先のことについては、あまりにも不勉強だが、とにかく五感を開放して、スパイスの香りとともにまちの空気を吸い込むことにしよう。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
*1:「キャンプ」という言いかたをしはじめたのは、2007年の後半あたり。