クローブ犬は考える

The style is myself.

めでたい。

「カレーキャラバン」の活動が、2015年度グッドデザイン賞を受賞しました。

2012年3月に墨田区ではじまって、あっという間に4年目。先日の鹿野町(鳥取県)でのカレーキャラバンが44回目でした。ゆるゆると、でも、いろいろなことを考えながら、鍋を炊いてきました。そして、2015年度グッドデザイン賞全受賞デザインが集まる、受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2015(G展)」に出展します。(カレーはつくりません…)

◎会期:2015年10月30日(金)〜11月4日(水)11:00〜20:00

*初日は13:00より、最終日は17:30まで  

◎会場:東京ミッドタウン

 

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審査委員の評価(http://www.g-mark.org/award/describe/43211

昔はそんな光景があったような気がする。食材を持ち寄って一緒につくり、なべを囲んで楽しい話をしながら食べて笑う。資本主義社会の仕組みは合理的なルー ルを作り上げ、経済も消費も当たり前のように私たちの生活をコントロールしている。しかし、楽しく生きるとは?豊かな時間の使い方とは?人との気持ちよい 交わりとは?そんな疑問も同時に我々に降りかかってくる。このカレーキャラバンはその命題に対し、参加者と一緒に「カレーを作る」という一連の行為のなか から未来に向かう思考や方法を模索し、一緒に感じ、産み出そうという人とのつながり方である。失われつつあるコモン領域の重要性を思い起こさせてくれる。

ふたたび、終わりは、はじまり。

2015年8月27日(木)

また、いつものファミレスに集まった。今年の「関西ロード2」をふり返りながら、あれこれ話をした。そして、木村さんの器財を、カングーからトゥインゴへ。これも去年とまったく同じ動きだ。先週の今日は、仏生山温泉でカレーをつくっていた…というのが信じられない。もう、あれから一週間だ。

けっきょく、今年もフェリーをキャンセルして、750km以上の道のりをドライブして帰ってきた。運転を交代しながらではあったものの、日曜の午後からは12時間近くクルマに乗っていた。その感覚が残っていたせいか、昨日、(都内から)藤沢の職場までドライブしたら、あまりにも近く感じられて、驚いてしまった。

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しばらく東京を離れているあいだに、まちはだいぶ涼しくなって、まだそばにいると思っていた夏が、どこかへ行ってしまった。2時間ほどおしゃべりをして、解散。

これからはじまる季節も、大切に過ごしたい。ちょうど、去年のいまごろは「終わりは、はじまり。」と書いて「関西ロード」を結んだ。これも、変わらない。第2章の終わりは、第3章のはじまりなのだ。

まだまだ、これからもカレーキャラバンは続くのだ(あの「ロード」は第13章まである…)。

f:id:who-me:20140828170827j:plain【関西ロード(2014)のしめくくり。】

Day 5: 旅の終わり

2015年8月23日(日)〜24日(月)

昨日のカレーキャラバンは、大盛況だった。いつものように、あっという間に終わってしまった。きょうは、学生たちがつくったポスターを展示して、成果報告会をおこなう日だった。ポスターづくりのプロジェクトは、厳密には「カレーキャラバン」ではないが、土佐山田での活動のようすはビデオを見てほしい。

【土佐山田キャンプ|2015年8月21日(金)〜23日(日)】撮影・編集:秋庭大志郎・井上涼・檜山永梨香

 

成果報告会は、少し遅れてはじまったが、無事にみんなの発表が終わって、13:00ごろには解散になった。ぼくたちは、バリューでお昼ごはんを買って、イートインコーナーで食べた。一昨日の夕方に土佐山田に来たばかりだが、それ以来、ほとんどの時間をバリューで過ごした。何度も売り場を行き来していたこともあって、イートインコーナーは、すでに憩いの場所になっていた。

 もともとは、今晩のうちに徳島まで移動し、明朝のフェリーで東京に帰る計画だった(じつは、去年も帰りのフェリーを予約していた)。だが、フェリーに乗ると、けっきょく船上でもう一泊することになって、東京に着くのは25日の朝になる。木村さんたちと話しているうちに、ちょっとでも早く戻ろうということになった。ぼくも、「関西ロード2」に出かける前に終えることのできなかった原稿をかかえていたので、早く帰るという案には賛成だった。高松でも土佐山田でも、一日の終わりに、こういうふうに日誌を書いて、少しだけ原稿に向き合っていたが、やはり、あまりはかどらない…。

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というわけで、14:00ごろに土佐山田を出発して、一路、東京に向かった。ナビに目的地(スタート地点の渋谷)を入力すると、到着予定は2:00。ずいぶん長いドライブだ。途中、運転を交代しつつ、休憩を入れつつ、東京に向かった。『つながるカレー』にも書いたが、帰りのクルマは楽しい。カレーづくり余韻に浸りながら、あれこれと話をするので、充実したふり返りの時間になる。「あの人がこう言っていた」「あんな人がいた」「あれがよかった(悪かった)」と、現場ではドタバタしていて、ゆっくり話せなかったことを、高速を走りながら共有する。そして、さっそく、つぎの旅について想像しはじめるのだ。

もうひとつ先のサービスエリアでいいかな、と思って給油を先延ばしにしていたら、途中でガソリンのメーターが「E」のほうに振り切れて、しばらくして警告音が鳴ってランプが点いた。あわててクルマのマニュアルを見たら、ランプが点いてから(運転のコンディションによるけど)だいたい50kmは走行できると書いてある。まぁだいじょうぶだろうと思いながら、なんとかサービスエリアにたどり着いて給油。警告音とランプのおかげで、眠気がさめた。「早めに給油」は大事。

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少しだけ途中で渋滞したものの、おおむね順調にすすんで、東京に戻ったのは、2:30ごろだった。けっきょく、土佐山田のまちを歩くこともなく(たとえば、オススメされた「日曜市」にも行かず、ROYAL NIBOSHI COFFEE STANDにも行けず)、東京に帰ってきた。カレー(とポスター)だけの旅だ。せっかくなのにもったいない、と思うのだが、じつは昨日の過ごし方も格別だった。

ぼくたちはテントにいて、カレーの準備が整うと行列ができた。「甘いのと辛いのとありますけど…」と、ひとり一人に声をかけて、ちょっとだけことばを交わす。わずかなやりとりだが、カレーを配っている間に、100人以上の土佐山田の人びとの顔を見ながら、ことばを交わした。これは、ガイドブックを片手にまちを歩くような旅では、絶対にありえないことだ。ちょっとした時間で、地元の人100人と出会う。これは、素晴らしい。嬉しい。

カレーキャラバンは、ぼくたちが発見した、あたらしい旅のしかたなのだと思う。

Day 4: バリうまバリューカレー

2015年8月22日(土)

そして、きょうは「夢の温泉」で目覚めた。窓の外は、青空。暑くなりそう。まずは、今回の「仕掛け人」である真奈さんの家で朝食をごちそうになる。

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43回目(番外編を除く)のカレーづくり。このペースだと、年内に50回記念を祝うことができるはずだ。11:00ごろ「バリューかがみの」に行くと、すでにテントが3張。ぼくたちのテントの場所(と思われる区画)も準備されている…。なんか、レジの前に貼られているチラシも、新聞の事前告知の記事も、いままでにないパターンなので、ちょっと緊張しつつ、さっそくクルマから荷物を降ろして設営を開始。きょうは、「雪ヶ峰牧場ラッシー」(バリューかがみの)と「アイスコーヒー」(ROYAL NIBOSHI COFFEE STAND)とともに、カレーを配るという、(ぼくたちの基準では)かなり大がかりな企画になっていた!

なにより、「バリュー かがみの」の強力なサポートに感謝したい。まず、食材については、たくさんの野菜を提供していただいた(くわしくは、カレーキャラバンのオフィシャルサイトに載るはず)。カレーを90食分つくるということだったので、ごはんの準備もお願いした。そして、店長のさりげないテキパキとしたサポートのおかげで、すべてが順調にすすんだ(ありがとうございました)。たとえば、ゴミをまとめたり、提灯ライトの電源コードを延ばしたり、必要だけどちょっと面倒な諸々のことを、ごく自然な動きで整えてくれるというマジック!(長机にかけたギンガムチェックのテーブルクロスも、店長のマジック!)

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【デザイン:坂東真奈】

 

スーパーの目の前にテントがあるので、買い物にはとても便利だった。肉やヨーグルトなど、必要なものを揃えて、さっそく調理を開始。きょうは、暑かった。太陽の動きとともに、テントのなかに陽が入り、汗だくになった。ときどき、スーパーに入って涼みながら、カレーをつくった。野菜・果物の差し入れがあったり、(チラシに書かれていたとおり)アドバイスや「口出し」があったり。何時間も煮込んでいたので、豚肉はとろけてしまった。

少し日が傾くと、ラッシー、コーヒー、ソフトクリームのほうに人が集まりはじめ、ほぼ予定どおりの時刻に、ぼくたちのカレーが完成した。お世話になりっぱなしだったので、最大級のリスペクトを込めて、名前は「バリうまバリューカレー」になった。価値あるカレーなのだ。

つけあわせには、提供していただいたキュウリでつくったサラダ(ヨーグルト+塩で味付け)、そして、お好みで差し入れのゆずを摺ってふりかけて食べることにした。ハラペーニョ(これも差し入れ)入りの「辛口」と、ふつうの「甘口」。2つの寸胴がいっぱいになった。

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そして、行列。きょうは、かなり忙しかった(配っているようすは、定点カメラの映像で、2”30あたりから)。クルマ5台分くらいのスペースが、ちいさなお祭りのような場所に変わり、カレーキャラバンのテントから、3つのテントをぐるりと囲む感じで列ができた。当初は90食という告知だったが、寸胴2つ分つくったので、120食くらいになったと思う。完食!

きょうも、一日たくさん汗をかいて、たくさんの人に会った。カウンターごしの、ちょっとしたやりとりが、ひとつ一つ身体にしみ込んでいくような、あの感じが好きだ。がやがやとスーパーの駐車場でカレーを食べている光景を見ながら、撤収と明日のポスター展、長距離ドライブ、さらにその先に待っているさまざまな「現実」のことが頭をよぎったが、なるべく考えないようにしていた。

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【おまけ:定点カメラで見るカレーキャラバン(土佐山田編)】

  【おまけ2:定点カメラで見るカレーキャラバン(土佐山田編)なべカム】

Day 3: 土佐山田へ

2015年8月21日(金)

移動日。「Kinco」で目覚める。(あたりまえだけど)「縁側の客室」とはちがった寝心地だった。かわいいバンクベッドは、キャンピングカーのような、「さるびあ丸」の特2等(わかる人にはわかる)のような雰囲気。シャワーの湯圧はすばらしい。1階でコーヒーを飲みながら、メールをチェック。世の中はお盆休み明けなので、さまざまな「業務連絡」がメールボックスに届いている。ぼくたちは、時期をずらして、旅の途中だ。

朝ごはんは、歩いて5分ほどのところにある「手打十段 うどんバカ一代」(セルフ)へ。ぼくと木村さんは、すぐに『空手バカ一代』を連想し、ウィリー・ウィリアムスの話で盛り上がっていたが、亜維子さんとやぼらってぃ(うどん屋で合流)は、何のことだか、まったくわからないようすだった。前の日に、岡さんに勧められた「釜バター」を注文。釜揚げ+バター+たまご+黒こしょう(+醬油)で、つまり、カルボナーラのような。美味。

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「Kinco」に戻って、代表の小林さん、(逗留中の)旅するバリスタの富澤さんと、あれこれ話をする。やはり、いろいろな人と(ちょっとだけでも)ふれ合うのが楽しい。だから、旅が続くのだ。

11:30ごろに仏生山温泉に行って、しばらく、まったり過ごす(自由時間)。リーダーは、相変わらず欲望に素直に従いながら、かき氷とカレーを食べ、木村さんは足首のテーピングについて語っている。14:00ごろ、岡さんに「じゃあ、また来年」と挨拶をして土佐山田(高知県香美市)へ向かう。距離としては120キロほど。長いトンネルをいくつも抜けながら南へ。ぼくたちは、ちょうど太陽のほうに向かっていて、フロントガラスからまっすぐに陽を受けながらのドライブだった。

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とくに渋滞もなく、16:00過ぎには土佐山田に着いた。なんと、今回はフライヤーが配られたり(バリュー かがみの店のレジのところにフライヤーが貼られていた)、『高知新聞』に記事が載ったりしている。事前にこんなふうに告知をするのは、カレーキャラバンがスタートしてから、初めてのことだ。まちかどでスルーされるのもつらいが、人がたくさん押し寄せるのもなかなか大変だ。

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宿で加藤研の学生たちと合流して、みんなで「とさのひるね」に行って食事。大きなテーブルに大皿がたくさん並ぶだけで、すでに満たされた気持ちになる。(※加藤研の「土佐山田キャンプ」については、別のサイトで報告する予定。)

明日は、「バリュー かがみの」の駐車場でカレーをつくる。

 

※そして、これまでにはなかったこと。カレーキャラバンのことが、新聞に掲載されていた。

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◎2015年8月21日(金)高知新聞